荒川ロックゲートと旧小松川閘門を歩く【江戸川歴史散策】
天気もいいし、自転車も整備したので、前々から気になっていた場所に出掛けてみた。
江戸川区役所から小松川橋をゆっくり登り、小松川JCT(中央環状線と7号小松川線の連結)の工事を見上げながら、スーパー堤防と再開発事業により生まれた対岸の堤と大島小松川公園にむかいました。
小松川千本桜堤は満開のさくらの時期とはうって変って、みずみずしい緑の葉におおわれていました。そして、真っ赤なツツジが迎えてくれました。バーベキュー場からは、若者のグループや家族づれの楽しそうな声が聞こえてきます。
小松川千本桜のバーベキュー場
大島小松川公園の周辺のツツジ
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雄大な荒川からの心地よい川風、河川敷のサイクリングロードを連なって走る自転車、五月晴れの休日にはふさわしい風景を満喫しながら、堤をそのまま進むと正面に茶色のタイル仕立てのゲートが現れます。荒川側のウオーターゲートです。このウオーターゲートは旧中川側にもあり、セットで「ロックゲート」と呼びます。
>>>荒川(荒川放水路)の歴史と風景 旧岩淵水門と河口周辺を見る
荒川ロックゲート 荒川と旧中川を結ぶ閘門
荒川ロックゲートは平成17年10月に完成した荒川と旧中川とを結ぶ閘門です。 閘門とは水面の高さが違う2つの川のあいだを船が通行出来るようにするための施設であり、世界的にはパナマ運河が有名です。荒川と旧中川は水位は荒川の方が3.1メートルも高くなっています。
ロックゲートにより、荒川と隅田川に挟まれた江東デルタ地帯への水上交通が確保でき、災害時の物質運搬の重要な施設となりました。つまり、荒川と旧中川、小名木川、隅田川が結ばれたことになったのです。ちなみに江戸時代の水路は、隅田川→小名木川→旧中川(昔の中川)→新川→旧江戸川とへつながっていたのです(荒川は江戸時代には存在していません)。
パナマ運河建設にかかわった日本人 青山士(あおやまあきら)
カリブ海と太平洋を結ぶこうもん式運河で長さ80キロメートル、最小幅91キロメートル、最大幅200メートル、深さ12.5メートル(浅い場所)です。マゼラン海峡やドレーク海峡を回り込まずにアメリカ東海岸と西海岸を海運の利便性が向上したのです。
パナマ運河の建設には一人の日本人がかかわっています。旧岩淵水門、荒川放水路の工事を指揮した土木技術者である青山士(あおやまあきら)です。青山は日本人で唯一パナマ運河建設工事に携わった人物です。
水位を調整する場所
荒川ロックゲートを荒川から旧中川に船が航行する様子
旧中川側の閘門の開門 【動画】
利用船のサイズは、長さ55メートル、幅12メートル、高さ4.5メートルまでとなっています。
通航時間は午前8時45分から午後4時30分までです。利用は無料。通過するには約20分かかります。
>>>国土交通省関東地方整備局サイト「荒川ロックゲートの通航についてのお知らせ」(PDF)を見る(外部リンク)
>>>国土交通省関東地方整備局サイトを見る(外部リンク)
荒川ロックゲートの船の通過方法
旧小松川閘門
旧小松川閘門は、大島小松川公園の展望の丘、風の広場で見られます。公園内で見られる閘門は全体の3分の1ほどです。残りは、土のなかに埋まっています。この風の広場は高台になっているのですこし違った江戸川区の景色が見られます。
小松川閘門・小名木川閘門・船堀閘門
この旧小松川閘門とは一体何なのか?少々説明が必要でしょう。
下の地図は、荒川ロックゲートが完成する以前の荒川、旧中川、小名木川、新中川(現在の中川)の水路をあらわしたものです。地図では、小松川閘門、小名木川閘門、船堀閘門を確認することができます。小名木川閘門と船堀閘門は解体されましたが、小松川閘門はそのまま残されました。それが現在大島小松川公園の旧小松川閘門というわけです。
当時の小松川閘門の付近の写真
江戸川区公式ホームページの<江戸川画像文庫>において、旧小松川閘門周辺の航空写真が掲載されています。公式ホームページには、この写真の説明はありませんが、写真中央付近にあるのが旧小松川閘門、左側にあるのが小名木川閘門です。奥に流れる川が小名木川、右側からの流れは旧中川です。
>>> 江戸川区公式ホームページで旧小松川閘門周辺の写真を見る(外部リンク)
実は、船堀閘門は解体されましたが、その閘門の一部(頭頂部)は荒川知水資料館アモアにあります。
船堀閘門の頭頂部
旧小松川閘門と船堀閘門は同じような形をしているのを確認できます。
>>>「荒川知水資料館アモアに荒川の歴史資料を見に行ってきた」を見る
風の広場でちょっと一服、家から持ってきた麦茶をゴックン!
対岸の葛西臨海公園の観覧車や船堀タワー、高速道路と川面を行き交う船を見ているとゆったりした気分になります。
風の広場を後にして、旧中川に向かいました。親水公園として整備されています。ボランティアの皆さんが、花壇の整備をしてくれていました。ロックゲートは災害援護物資運搬はもちろんですが、平常時には、カヌーレガッタ、Eボート、舟遊びなど川と川を通じた新たな交流も目的のひとつです。
荒川を渡り小松川千本桜堤をゆっくり散策し、ロックゲート(ゲートの屋上に上がれます)、旧小松川閘門(展望の丘)、そして旧中川の親水公園の花畑、芝生の丘広場を散歩しました。いずれもとても手入れされた気持ちのいいエリアでした、地域の人たちの思いが至るところに見受けられました。そして、荒川ロックゲートはパナマ運河に行けないかたでも、思いを馳せるには十分な施設です。一度おでかけください。