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一之江境川親水公園を歩く~樹齢750年のタブノキ【江戸川歴史散策】

一之江境川親水公園を歩く~樹齢750年のタブノキ【江戸川歴史散策】

 今日は天気が良かったので、新中川から一之江境川親水公園沿いを歩いてみました。

 一之江境川は、東西一之江村の境を流れ船堀を経て新川に注いでいました。古くから、農業用水、舟運路として人々に親しまれ、昭和30年代までは鰻などもとれたそうです。しかし、江戸川区の都市化とともに川の汚れがすすみました。江戸川区は”昔の境川”を取り戻すためにこの汚れてしまった川を親水公園にしました。今では全国各地にある親水公園ですが、江戸川区の親水公園が日本初なのです。

一之江境川親水公園の受賞歴
【平成23年度「手づくり郷土賞」(一般部門)受賞】
【平成20年度「第19回みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰受賞】

画像 一之江境川親水公園のツツジ
一之江境川親水公園のツツジ

一之江抹香亭周辺マップ

一之江境川親水公園を歩く

一之江境川の始流は、首都高速一之江インターと環七の交差点の東。この季節はツツジが咲き誇りとても気持ちのいい散歩コース(健康の道)になっています。

画像 一之江境川親水公園の始流
一之江境川親水公園の始流
画像 一之江境川親水公園沿いに長くつづくツツジ
一之江境川親水公園沿いに長くつづくツツジ

樹齢300年のタブノキ 一之江分教場跡

 始流のそばに、小さな公園があります。一之江分教場跡の名盤が入り口に立っています。この一之江分教場とは、大正二年(1913.4)に一之江村と瑞穂村が合併し瑞江村になったのを機に瑞江尋常高等小学校(大正12.8瑞江村大字東一之江)が新築され移転しましたが、椿、新堀、谷河内そして一之江地区からは遠いところでした。そして、移転直後の関東大震災で校舎が破損したことと、一之江地域の低学年児童からは遠いことから、瑞江尋常小学を平屋二棟に整備し、一之江分教場としました。

画像 一之江分教場
一之江分教場の写真(昭和24年頃)
画像 一之江分教場後の樹齢300年のタブノキ
一之江分教場後の樹齢300年のタブノキ
画像 萩のトンネル 一之江分教場の杜
萩のトンネル 一之江分教場の杜

 その後、新中川の開作(新中川は人工の川)、小学校の移転などで、昭和33年3月に分教場は廃止されました。文教場跡の公園には、萩のトンネル(宮城野萩、マメ科ハギ属)や樹齢300年のタブノキがあります。幹回り4メートルのタブノキは江戸川区の歴史を見続けてきたように、どっしりそびえています。

樹齢750年のタブノキ 一之江抹香亭

ちょっと話が難しくなりましたので、一之江境川親水公園散策を続けましょう。
 環七を西に渡ってすぐに、抹香亭があります。名前の通り、抹香屋さんでした。入場料は無料です。きれいに整備された庭に入ってすぐ右手に抹香の材料の樹齢750年のタブの木(葉を材料)がそびえています。抹香亭では、季節にあわせて、いろいろな催し物が行なわれるほか、縁側の前には、手遊びができるおもちゃが用意されていて親子で昔遊びを楽しめます。ゴールデンウィーク中には、鯉のぼりが飾られていました。

画像 一之江抹香亭の樹齢750年のタブノキ
一之江抹香亭の樹齢750年のタブノキ

保護樹「タブノキ」
推定樹齢 七百五十年
当家は、江戸前期から、抹香(香料)づくりを業としていた。
タブの葉は、抹香の原料にしていたと伝えられている。
通称「抹香屋のタブ」と、呼ばれている。
江戸川区

画像 一之江抹香亭の鯉のぼり
一之江抹香亭の鯉のぼり
画像 一之江抹香亭の昔あそびの道具
一之江抹香亭の昔あそびの道具

虫を育てる「カンタンの里」

 抹香亭を後にしてすぐに、自然に近い里を作り虫などを育てている「カンタンの里」があります。カンタンは、コオロギの一種で、なく虫の女王と呼ばれています。秋に虫たちの素敵な歌声が聴けるそうです。
 このゾーンには、アスレチック、じゃぶじゃぶ池、シャワーが設備されています。今の季節は藤棚からこぼれる紫色の藤と、赤、ピンク、白のツツジが迎えてくれます。
>>>カンタンをwikipediaで見る(外部リンク)
>>>江戸川区内の藤棚を見る 

画像 カンタンの里
一之江境川沿いにある虫を育てるカンタンの里

江戸川区では 「かんたんの里」を生物が生息できる環境を保全し、環境学習の場としての活用しているそうです。江戸川区ホームページでは、ひらがな「かんたん」を使用しています。

画像 一之江境川親水公園の藤棚
一之江境川親水公園の藤棚
画像 一之江境川親水公園の藤の花
一之江境川親水公園の藤の花
画像 一之江境川親水公園沿いのツツジ
一之江境川親水公園沿いのツツジ

清流よ永遠なれ 石の名盤

 新緑の香りと色とりどりのツツジを満喫しながら、今井街道まで歩くと、「清流よ永遠なれ」と書かれた大きな石の名盤があらわれます。利根川流域から運んだ石に、えどがわの「江」の字と松江・一之江の「江」をデザインしたものです。ここに刻まれた文字はこの地域の皆さんがきれいな川が戻ってきた喜びがかたちになったものです。

石の名盤『清流よ 永遠なれ』

城東電車とトロリーバス

 清流の名盤から10メートル進んだ場所に城東電車の当時使用されていたレールが展示されています。
 城東電車は、市営の路面電車で、明治44年3月(1911)当時本所錦糸町と瑞江村大字上今井の間に敷設の許可がおり、拡張を重ね、大正14年12月に東荒川~今井橋間が開通しました。昭和27年東荒川~今井橋間は廃止され、今井ー上野公園間の都内初のトロリーバスに変わりました。

>>>「昭和のはじめまで江戸川区内を走っていた城東電車」を詳しく見る

 今回は、一之江境川親水公園を2時間かけてゆっくり歩きました。ここで 紹介できたのは 3.2キロメートルの散歩コース(健康の道)の半分程度なのですが、郷土の歴史に触れながら、花と緑に囲まれた気持ちのいい時間を過ごすことができました。残りの半分は天気のいい日に出かけたいと思います。区内に住んでいる人も知らない見所が山ほどありそうでとても楽しみです。

>>>「一之江境川親水公園の歴史」を見る

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